【ねこまたぎ通信】

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 ガザの凄惨な現状  ムハンマド・オメール

       **以下、転送を歓迎します**   

      ○○○ナブルス通信 2008.1.25号○○○
          ガザの封鎖を解いて!
        http://www.onweb.to/palestine/
         Information on Palestine


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◇contents◇ 

◇ガザの凄惨な現状  ムハンマド・オメール

◇Information 
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> >◇ガザの凄惨な現状


友人たちへ

ガザの状況は日に日に悪化しています。医薬品が極度に不足している状況下で、数日前に、僕も親族の1人を失いました。医薬品不足のために死ぬ人は増える一方です。どうかこの記事を多くの人に読んでもらってください。今ガザで何が起きているかを世界中の人に知らせてください!

この記事はイギリスの大手誌、New Statesmamに掲載されました。
質問やコメントがあれば、いつでも僕にコンタクトしてください。

パレスチナから愛と平和を。
ムハンマド


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ガザの凄惨な現状

ムハンマド・オメール
2007年12月10日 New Statesman(英)
The Grim Reality in Gaza
by Mohammed Omer

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ガザ地区に入ってくる物資は、先週にはほんの細流にまで落ち込んでしまった。そして今週、ガザ地区各地の医療センターが、医薬品とセンターの維持に必要な物資の欠乏のために、医療活動そのものを大幅に縮小せざるをえなくなった。

イスラエル最高裁の裁定は死刑に等しい。我々の燃料備蓄はほとんどなく、今日明日にも完全にゼロになってしまうのは必至の状況だ」と、ハマス政権の保健省の広報担当、ハーレド・ラディは言う。

11月30日に出されたイスラエル最高裁判所の裁定は、すでに大幅に制限されているガザ地区への燃料移入量のさらなる削減と、ガザ住民の生活をあらゆる側面で麻痺させる厳しい物資量の削減を認可するものだった。しかし、この裁定に先だって、イスラエルは10月時点ですでに燃料移入の制限を始めている。これによって、ガザは必要な燃料の50%をカットされるという深刻な事態に直面することになった。必要量の半分という、この恐ろしい数値は、OCHA(国連人道問題調整部)によって確認されている。

ガザへの燃料はすべてナハル・オズ検問所を経由して入ってくる。パレスチナの燃料管理局の報告によれば、10月後半以来、イスラエルが運び込むディーゼル油は1日あたり約19万リットルになった。ガザ地区で必要な量に35万リットルも足らない量だ。11月29日には、この数値はなんと6万リットルに落ち込み、3日後の12月2日にはわずかに改善されたものの、9万リットルでしかなかった。

今週に入っての移入量のさらなる削減を受けて、ガザ地区のガソリンスタンドが数日にわたって閉鎖された。経営者たちが、通常の4分の1というわずかな配給量に抗議してストライキを実行したためだ。

ガザのガソリンスタンド経営者協会はこうコメントしている。「この量はあまりに少なすぎる。燃料業界ではイスラエルの経済封鎖に抗議するため、ガザの一般市民の絶対必要量には遠く及ばないイスラエルからの恥ずべき提供分を受け取るのを拒否することにした」

ガザのあるタクシー運転手はこんなふうに述べた。「燃料が削減されれば、私たちの生活そのもののを削減しなければならなくなる。燃料はあらゆることに使うのだから。もうひとつ、現状の問題点は、イスラエルがガザに制裁を科しているというだけでなく、パレスチナ人の中にも、この正気の沙汰とは思えない禁制を支持している者がいるということだ。悲しいことに、彼らは、こうすればガザの人たちがハマスに敵対心を抱くようになるだろうという、なんともナイーブな考えしか持っていない」

燃料の不足は市民の足に計り知れない影響を及ぼしている。ガザ市の大学に通う学生たちは、南部のハン・ユーニスやラファの自宅に戻るのに、バスやタクシーを何時間も待っている。


*物資欠乏の影響

燃料削減は水の供給を制限する。ガザの水道局によれば、ディーゼル駆動のポンプが動かせなくなって7万7000人以上に飲料水供給ができなくなっており、オックスファム・インターナショナル(Oxfam International:世界13カ国に拠点を持つ人道支援NGO)は、ほどなく22万5000人のガザ住民が適切な飲料水を得られなくなり、健康不安の増大が懸念されると警告している。

救急車や病院も大きな影響を受けている。ハーレド・ラディが述べているところでは、燃料不足によってすでに何台もの救急車が動かせなくなっており、「救急車は、今朝のようなイスラエル軍による空からの攻撃が行なわれている時には特に重要な意味を持つが、それが大きく制限される事態になっている」

ハーレド・ラディはさらに、ガザ地区では頻繁に停電や電力不足状態が発生するため中核病院ではバックアップ用の発電機に頼っているが、これ以上、燃料不足が続けば、病院自体を閉鎖しなければならない事態が懸念されると語った。すでに、2つの救急医療センターが電力削減下で治療活動の一時停止を余儀なくされており、活動を続けている施設でも深刻な医薬品の不足に直面している。WHO(世界保健機構)によれば、絶対的に必要な416種類の薬品のうち91品目が在庫切れの状態だという。

様々な日用物資もほとんど手に入らず、割れた窓を修繕するためのガラスも見つけるのが極めて難しい。12月の寒い時期に窓を割れたままにしておくわけはいかない。電気もガスもほとんどないに等しい状況ではなおさらだ。

31歳の教師、イヤード・ユーセフはセメントを待ちつづけている。過去数カ月間、ガザにセメントは入ってこなかった。加えて建築資材の値段は急騰し、以前の3倍というケースもある。家を建てているユーセフはあらゆる種類の建築資材を必要としているのだが、どこに行っても何ひとつ見つからないことも充分承知している。すでに考えられる限りの場所を探してきたからだ。「また途中なんですが、建築資材がいっさい手に入らないのだから、どうしようもありません。今のところ、窓にはナイロンの布を張っています。でも、これではそんなに長く我慢していられませんね」と言ったのち、ユーセフは、ボーダーの封鎖を解いてガザに重要な物資を入れるよう、国際社会がイスラエルに圧力をかけてほしいと付け加えた。


*死刑宣告

イスラエルの封鎖によって亡くなった者を考えれば、ユーセフはまだましと言うべきだろう。イスラエルがボーダーを封鎖し、西岸地区やイスラエル、エジプト、ヨルダンの病院に治療を受けにいくのを妨害した結果、先月以来、少なくとも31人がガザで死亡している。

6月にハマスが政権を握ってから、イスラエルのボーダー封鎖が始まり、この結果、パレスチナ人は事実上ガザから出ることができなくなった。続いて、ガザへの商用物資の唯一の移入口であったカルニ検問所が閉鎖され、最も基本的な食糧を除いて何も入ってこなくなった。加えて空と陸からのイスラエル軍の攻撃がある。昨年の10月、イスラエルがガザを「敵対的な存在」であると宣言した時に比べても、パレスチナ人にとって状況はさらにさらに厳しくなっている。そして、国際社会は、この宣言によってイスラエルがボーダー封鎖政策を正当化するのを許容しつづけているのだ。

ガザ地区には150万の人が住んでいる。この大勢の住民が、医薬品の欠乏に加えて、今や病院の閉鎖に直面している。イスラエルによるボーダーのコントロールは、ガザの人々にとって死刑宣告以外の何ものでもない。53歳のヤーハ・アル・ジャマールは癌に侵され、設備の整った病院で治療を受ける必要に迫られているが、もう2カ月以上、治療のためにイスラエルに行くことを拒否されつづけている。苦悩する父親は、必要な治療を受けられなければ息子はまもなく死んでしまうと訴えるが、イスラエルからは、生死にかかわる病気の治療を受けることを認めない答えしか返ってこない。これはほんの1例でしかない。アル・ジャマールと同じ状況にある人は、ほかにも何百人といる。

何とも痛ましく腹立たしいのは、このボーダー封鎖の結果亡くなった人たちの墓を作るためのセメントさえ、もはや手に入らないことだ。


*底をつく物資のストック

国連世界食糧計画(WFP)をはじめとする複数の緊急援助機関が報告しているところでは、現在移入されている食糧は、ガザ地区の必要量の41%しか満たさないという。

寒さが厳しくなっていくとともに、ガザの人々は生き延びる手だてを求めて必死に奔走している。ウンム・ムハンマド・ゾウルブは繰り返しラファの土曜市
の出店を探しまわる。「だいぶ前から子供たち用の冬服を探しているんだけれど、まだ1枚も見つかっていない。ボーダーが封鎖されて、ガザには何も入ってこない」と43歳の母親は嘆く。

国際社会から見捨てられ窮乏する人たちに、寒い季節は容赦なく襲いかかる。水は不足しエアコンなど夢の存在だった猛烈な暑さの夏から数カ月、今、ガザの人たちは、極限状況に対する備えもなく、夏と同じ家で苛酷な寒さにさらされている。そして、今一度、苦い認識を――自分たちが巨大な牢獄に閉じ込められてしまったこと、国際社会の目には見えない存在になってしまったことをかみしめている。


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「世界が危機的な状況に至るのは、危害を及ぼす者によってではなく、そうした状況を目のあたりにしながら何もしない人たちによってである」アルベルト・アインシュタイン

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Rafah Today:www.rafahtoday.org
原文:http://www.newstatesman.com/200712100003

翻訳:山田和子

[編集者あとがき]

この記事が書かれて1ヶ月半。状況はさらにひどくなっています。

ガザの外で適切な治療を受けられなかったために亡くなった重病患者は70人を超えました。

先週(13~19日)に連続的に行われた攻撃では37名ほどの人が殺され、70名以上が負傷しました。殺された中には子どもを含む民間人も数多くいます。

加えて限定的に入ってきていた物資をイスラエルは完全に止めました。そのために燃料がなくなり、ガザ唯一の発電所が稼働をストップし、20日、ガザは完全な闇に包まれました。

23日ラファのエジプトとの壁が何者かによって壊されたことで、今、お金のある人たちはエジプトに買い出しにいけるようになっていますが、これもいつまで続くのかわかりません。

(このあたりの経過はP-navi infoに。復旧したらお読みください)

ガザ封鎖に対して、国際的な非難も高まっています。
26日(土)には、イスラエルをはじめとして、英国、フランス、イタリア、米国、南アフリカなどで抗議行動が行われます。

イスラエル政府にたいして、声を届けてください。
日本政府や米国政府にイスラエルの封鎖、攻撃を止めるように伝えてくださ。

イスラエル政府には
「End the siege on Gaza!」、「Don't Kill the Palestinians」
「Ceasefire now!」などの一言でも。
届け先は:http://palestine-heiwa.org/misc/kougi.html
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> >◇この文章は後日、以下にアップする予定です 
http://www.onweb.to/palestine/
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> >◇Information1 封鎖されたガザから緊急来日
ガザ・アトファルナろう学校 ジェリー・シャワ校長来日報告会

26日(土)仙台
27日(日)東京
2月3日(日)大阪

詳しくは「パレスチナ子どものキャンペーン」サイトに。
http://www32.ocn.ne.jp/~ccp/
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> >◇Information2 『月刊オルタ12月号』で回廊構想特集!

『月刊オルタ12月号』が「パレスチナ[平和と繁栄の回廊]構想」という特集を組んでいます。日本政府のヨルダン渓谷開発構想はどういうものなのか、現地はどうなっているのか、多角的に取り上げています。来日していたファトヒ・クデイラートさんのインタビュー記事も。

購入・詳細は以下に。
http://www.parc-jp.org/main/a_alta/alta/2007/12/cover 

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[ボチボチ更新中。編集者ビーのblog。速報、インフォ、コラム]

ただいま、P-navi infoは接続できなくなっています。近々、復旧の予定です。


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