なかなかよい指摘です.
日本人の脳はすっかりスポンジ状態で思考停止しているので,中東問題に関して基本から間違った議論が多いのです.
米国、イスラエルによるイラン攻撃という最悪のシナリオが現実化しつつある。中東問題の第一人者、板垣雄三・東大名誉教授は新たな米中枢同時テロ(9.11)発生を口実に米国が対イラン攻撃に踏み切れば、世界全体を巻き込み、人類は破滅への道を辿ると危惧した。米国は来年大統領選を控えており、任期満了で退陣するブッシュ政権には対イラン攻撃への「タイムリミット」が刻一刻と迫っている。ペルシャ湾には米、英、イスラエルの海軍艦船が結集、すでに臨戦態勢が敷かれた。一方、イランと軍事協定を締結しているロシア、中国はイラン攻撃に備えた軍事演習を同盟国と繰り返しており、一触即発の事態を迎えている。背後には石油利権が見え隠れする。対イラン攻撃は、カスピ海の石油のイスラエルへのパイプライン供給を可能にするからだ。3月31日に都内で行われ、「事態の根底にあるパレスチナ問題に目を見据えない限り、対テロ戦争の本質は見抜けない」と警告した同教授の講演内容を報告する。(佐藤あゆみ)
- 土台に絶えずパレスチナ問題
- 「対テロ戦争」とは
- 20世紀の歴史を踏まえて
- 作られた「宗教対立」
- 日本を変えた9.11
- 対テロ戦争は第2段階に
- 対イラン攻撃と関連するBTCパイプライン
- 想定される最悪のシナリオ
- 求められるもの
▼ 「対テロ戦争」とは
対テロ戦争は「緊急非常事態を常態化して終局を予定せず、高度先端技術を駆使し、戦場と手段を限定せず、国際法秩序やチェック・アンド・バランス体制の拘束を脱し、グローバルな最終戦争を装い、略奪的植民地主義の本質を隠し通そうとする制服戦争」と定義した。
さらに、対テロ戦争の特質として
- 植民地国家イスラエルを守るためのグローバル戦争である
- パレスチナ問題の不公正に抵抗する人々をテロリストと断定し、その「悪者」達を根絶やしにしようとする制服戦争の性格を持つ
- その陰では、パレスチナ人への民族浄化を野放しにして、イスラムこそが「テロ」を産む温床と決め付ける
- 世界の至る所で宗教・宗派対立を扇動し、人々の目を本質からそらす
- 泥沼の過程を経て増殖する傾向にあり、人類の「最終戦争」というキャッチコピーを大々的に掲げながら、9.11テロのような衝撃的な節目をきっかけに開始される
━を挙げた。