【ねこまたぎ通信】

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『人質1270人TVは故意にウソ』

校長、占拠当時を証言

 【ベスラン=中島健二】北オセチア共和国ベスランの学校占拠事件で惨劇の舞台となった第一小・中等学校の女性校長リディヤ・ツァリーエワさん(72)が四日、負傷して入院中のベスラン市内の病院で本紙の単独取材に応じ、体育館で人質となっていた児童や保護者らの人数が約千二百七十人だったことを明らかにしたほか、武装集団が大量の地雷や武器を持ち込んでいたことなど、現場の状況を語った。

 同校長によると、武装集団が襲ってきたのは校舎前で始業式を始めようとした時。すぐに、ほとんどの児童や親が体育館に押し込められた。この際、人数を確認すると千二百七十人前後だった。

 だが、間もなく別の部屋でテレビを見ていた犯人から「ニュースがウソを言っている」と呼び出された校長が、テレビの画面を見ると「三百五十人が人質」との字幕が見えた。校長自身も「わざとウソを伝えている」と感じたという。

 武装集団は、同校長が確認しただけでも二十人以上はいた。けん銃や自動小銃、バズーカ砲など大量の武器を所有。特にビニール袋に入れた地雷が山のように持ち込まれ、占拠後しばらくして、体育館周辺で四列に並べるように埋められた。犯人の一人は「自分が起爆スイッチを持っている」とすごんだ。

 人質が閉じこめられた体育館は広さが約三百六十平方メートルしかない。千二百人以上を収容するにはあまりに狭すぎ、同校長は「座ることができず、片足で立たざるを得なかった人」も目撃した。

 占拠初日は比較的穏やかだった武装集団だが、何かあったのか二日目に突然、横暴さが激しくなった。水も飲めず、トイレも行けない子どもたちは、精神状態が極限状態になり、たびたび館内は騒然とした。そのたびに犯人は銃を撃ちならして黙らせたという。校長にも「子どもたちを黙らせろ」と再三、脅してきた。

 三日昼、突如始まった武装集団とロシア側の戦闘。大きな爆音で始まったその瞬間、同校長は銃撃を受けて倒れた体育館の扉の下敷きになり、気を失ったという。

 間もなく特殊部隊に救助され、病院に運ばれたが、多くの犠牲者を出したことに強いショックを受けている。「皆、きれいな服を着て、学年の始まりを祝う記念日だったのに…」と涙を流した。


東京
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