【ねこまたぎ通信】

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モスクワ・テロ 市民に「無差別」の恐怖


 帰宅を急ぐ通勤客らで混雑するモスクワ市内の地下鉄駅近くで31日に起きた自爆テロと見られる事件は、一般市民が日常的に無差別テロの恐怖にさらされているロシアの現実を浮き彫りにした。今回の事件は、プーチン政権に深刻な打撃を与える可能性がある。

 2機の旅客機を墜落させた同時テロで犯行声明を出した「イスラムボウリ旅団」が、再び犯行声明を出した。90人の死者を出した旅客機テロからわずか1週間後、テロに対する厳重な警戒が敷かれていた首都で再び市民を犠牲にする事件を許してしまったことで、プーチン政権は治安体制の甘さを露呈してしまった。

 8月29日のチェチェン大統領選挙で思惑通り親連邦派政権を誕生させたプーチン大統領だが、選挙をはさんだ1週間で合計100人近くが犠牲になるという惨事を防げなかった。政治責任を問う声が大きくなることも考えられ、プーチン大統領の指導力にかげりが出る可能性も否定できない。

 ロシア国民にとって、見えない敵と戦う悪夢の連続には耐え難いものがある。昨年7月はモスクワ郊外の野外ロックコンサート会場で、チェチェン人と見られる女性2人の自爆テロで子供を含む多数の死傷者がでた。その後もクレムリン近くの路上や地下鉄車内で自爆テロが相次ぎ、市民の恐怖は頂点に達している。

 プーチン大統領はテロが起きるたびに、チェチェン独立を求める武装勢力による犯行として対決姿勢を強めてきた。それがロシア国民の共感を呼び、高い支持率に結びついてもいた。

 だがロシア国民の多くはいま、政権のそういう強硬姿勢に疑問を抱き始めているように見える。とくに旅客機テロと今回の事件は、これまでモスクワなどで自爆テロを繰り返してきたチェチェン武装勢力とは異なる組織によるものと見られ、しかも組織が今後も犯行を続けると予告しているだけに、一般市民の不安は深い。

 プーチン政権はテロから国民を守る対策の強化と同時に、チェチェン政策の練り直しも視野に入れた難しいカジ取りを迫られている。 (09/01 18:24)

asahi