【ねこまたぎ通信】

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分離壁建設 国際司法裁の勧告聞け

 国際司法裁判所イスラエルが建設中のパレスチナ分離壁を違法と認定し、賠償を勧告した。国連決議に基づく国際社会の明確な意思の無視は許されない。建設を中止し、和平交渉にもどるべきだ。

 この分離壁パレスチナのテロ攻撃から国民を守るため、と二年前からイスラエルシャロン政権が一方的に建設を始めた。昨年十月に国連総会が建設中止を決議したが、無視した。これに対し国連の要請で国際司法裁の裁判官は十四対一で国際法違反と判断した。

 同司法裁は「パレスチナ人の権利を侵害し、占領地の併合に等しい」と認定し、直ちに壁建設を中止、撤去して、建設で生じた損害の補償をすべきだと勧告した。国際社会は明確に判断を示したのだ。

 勧告に拘束力は無く、イスラエルはまたも黙殺の構えだが、力だけで平和が生まれないことは半世紀余の流血が示している。イスラエル建国も、ナチスによるユダヤ虐殺の同情からの国際支援で実現した。わが身を振り返り、隣人と共存の道を選ぶべきだ。

 分離壁は延長七百キロの計画で、すでに二百キロが完成した。第三次中東戦争の占領地ヨルダン川西岸を囲むように建設が進んでいるが、ユダヤ入植地を取り込んで、占領地に深く食い込んだ所もある。

 高いもので九メートルもある壁は、テロを一時的に食い止めても、イスラエルへ働きに出るパレスチナ人や生産物など経済交流をせき止める。結局はテロの温床の貧困を増大させ、恨みを深めよう。

 壁建設自体、シャロン氏が野党党首時代にイスラム聖地に踏み込み、誘発してしまったテロへの対策なのだ。イスラエル最高裁も六月に三十キロ分だけだが、建設差し止めを命令した。「日常生活を困難にし、人権を侵害している」とパレスチナ住民の訴えを認めざるを得なかった。

 暴力の応酬を力で押さえ切れないシャロン首相は、ガザ地区からも一方的に入植地全面撤退を打ち出した。これは分離壁建設強行とともに、暫定自治区と認めたガザと西岸の分断を狙い、国民の不満をなだめる保身への窮余の策に見える。

 後ろ盾米国はイラク戦争と大統領選のため見て見ぬふり。シャロン首相は国連も無視して、思うままに振る舞うつもりか。

 今回の勧告は国連にも紛争解決へ一層の努力を要望していて、今週中にも国連緊急総会が開かれる見通しだ。新中東和平案(ロードマップ)に立ち戻るために制裁も辞さぬ決意が要請されよう。

東京