【ねこまたぎ通信】

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エイズ感染、若者の10人に1人−南アフリカ

ウィッツ大学による最新調査

 南アフリカでこのほど、若年層を対象に行われた性行動に関する意識調査で、十人に一人がHIVエイズに感染していることが分かった。「自分は感染するとは思わない」と答えた人が71%に上るなど、若者のエイズに対する意識の低さが浮き彫りとなっている。
ヨハネスブルク・長野康彦)

71%が危機感持たず

 ヨハネスブルクにあるウィッツ大学の調査部門「性と生殖に関する健康調査研究」が行った今回の調査は、十五歳から二十四歳までの若者一万千九百四人に直接インタビューする形で行われた。国内の主要エイズ団体「ラブ・ライフ」が若者の性行動の実態をつかむため同大学に調査を依頼したもので、全国九つの州にまたがる大規模なもの。調査の際には、本人の同意のもとHIVテストも行い、HIV感染の有無も調べた。
 結果としてまず、同年齢層の十人に一人がHIV感染者であることが判明。国勢調査による十五歳から二十四歳までの人口数は九百二十万人であり、同年齢層の九十二万人がHIVに感染していることになる。これは南アのHIV感染率11%という政府公式発表ともほぼ一致し、既存の統計数字を裏付ける結果となった。

 また、男女別に見ると女性が77%と、男性に比べてかなり多いことが分かり、居住地域別では都市近郊の貧困地域に最も感染者が多い傾向が見られた。

 HIV感染の防止策について、94%が「知っている」と答えたものの、感染率10%という結果からは依然として危険な性行動を繰り返していることが読み取れ、若者らが本当の意味で感染予防に取り組んでいないことが明らかとなった。

 女性に圧倒的に感染者が多いことについて、ラブ・ライフのデビッド・ハリソン代表は、女性が抑圧されたり被害を受けやすい社会環境にあると指摘する。アフリカではいまだに女性は身体的にも経済的にも弱者と見なされる傾向があり、男尊女卑の伝統が根強く残っているため、男性から性関係を迫られると断れない女性が多いという。

 最も効果的なHIV感染予防策として、アメリカで成果を上げている「性の自己抑制」といった手段を取っている人は皆無。以前と比べると、コンドームを使用する人が増えてきたものの、毎回使用する人は33%にとどまり、67%がたまにしか使わないと答えた。

 官民挙げてHIVエイズ問題に対する国民の意識向上に取り組んではいるが、一つ明確になったことは、大半の若者は自分が感染の危機にさらされていることを実感していないということだ。自分がエイズに感染する可能性について、「その可能性が高い」と答えたのはわずか14%。36%が皆無、35%が非常に低いと答え、両方合わせると71%もの人が、HIV感染の危険を軽視していることが明らかとなった。

 今回の調査でHIV陽性と判明した人のうち、62%が「自分がHIVに感染するとは全く考えていなかった」と答えており、エイズ問題を自分の問題として意識していないことが分かる。ハリソン代表は、若者が感染予防策を自ら取るという行動に移るためには、「彼らが常にHIV感染の危険にさらされていることを、まず心で理解しなければならない」と警告している。