【ねこまたぎ通信】

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沖縄タイムス 極めて真っ当な意見

大弦小弦

 イラク日本人人質事件を通して見えたことがある。日本の政府は国民の命を守らない、ということだ。人命よりも国際的面目、はっきり言えば、米政府にどう思われるか、ということの方が重要なのだ。
 政府は、自衛隊撤退を求めた犯人グループの要求をすぐに否定した。テロリストの卑劣な要求に屈しないことと、要求の即刻拒否はイコールではなかった。にもかかわらず、最初のメッセージが明確な「ノー」だったことには然とした。
 犯人グループに首相発言が伝わっていたことは解放声明でもわかる。人命よりも対米追従という現政権の性格を露呈した象徴的な出来事だ。人質をとる行為は絶対に許せないが、日本政府が国民を気にかけていない、という犯人の指摘は一面で的を射ている。
 国際基督教大講師の小倉英敬さんは指摘した。政府の腹づもりが「撤退なし」でも、答えをあいまいにして時間稼ぎをするのが常識だと。残念ながら今回、政府が被害者の生命を最重要視したとは思えない。あまりに無責任だった。
 福田康夫官房長官は、ダッカ事件で「人命は地球より重い」と超法規的措置をとった父・福田赳夫元首相との比較に「時代、意味合いが違う」と言ったが、どう違うのか。二十数年で国民の命の価値は低くなったとでもいうのか。
 国民は心すべきだろう。今の政府に「人命は地球より重い」という認識がないことを。これが小泉政権の本質なのだ。(武富和彦)