【ねこまたぎ通信】

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人質

 イラクで拘束された日本人3人を巡る情報は11日、二転三転した。カタールの衛星テレビ局アルジャジーラが、「24時間以内に3人を解放する」とする犯行グループの声明を報道したのが日本時間午前3時前。だが、解放は確認されないまま、同局は夜になって、犯行グループの方針として「自衛隊撤退」を受け入れなければ人質を殺害する――と表明する人物のインタビューを放送した。政府はさまざまな情報の確認に追われているが、一つひとつの情報の信憑(しんぴょう)性に確信がもてないなかで、政府・与党内に混乱が広がった。
 ●広がる混乱

 「進展していません。解放されたかどうかもわかりません。人命にかかわることなので詳細な報告は差し控えます」
 11日夜、自民党本部で開かれた与党対策本部の会合。細田博之官房副長官や外務省幹部は3人の状況や解放の見通しを尋ねる与党幹部に、繰り返し説明した。
 政府・与党の幹部に「アルジャジーラが『武装グループが3人を24時間以内に解放する、との声明を送ってきた』と報じる」との情報が届いたのは日本時間午前3時前後。政府・与党内に一気に安堵(あんど)の空気が流れた。
 外務省には午前3時半ごろから竹内行夫事務次官ら幹部が集まった。竹内次官は記者団に「人質の身柄が確保できるまで安心できない。(報道内容も)まだ確認できていない」と語ったが、外務省は声明について「複数の関係方面から同種情報の連絡を受けた。100%の断定はできないが、信憑性は高い」(政府関係者)と判断。自民党安倍晋三幹事長は、午前中のテレビ朝日の報道番組で解放の見通しについて「24時間以内の解放について複数の情報が入っている。逆算すると11日の昼ごろではないか」と語った。
 しかし、その後もイラクから「解放」の朗報は伝わらなかった。午後7時すぎに開かれた与党対策本部は、犯行グループが求めた自衛隊の撤退には応じない方針を改めて確認して終わった。
 さらに午後10時過ぎには、アルジャジーラが衝撃的なインタビューを放映。外務省幹部は「内容はこれから検討する」と述べるにとどまった。
 交錯する情報に、自民党幹部は「いろんな話があり、解放されるという話も本当かどうかわからない。何を信じていいのかさっぱりわからない」と話す。政府高官は「動揺すれば、犯行グループが脅しの効果があると判断する。じたばたしてはいけない」と冷静に対応する姿勢を示した。

 ●働きかけ

 一方、政府は事件発覚直後から、現地で大きな影響力を持つ宗教指導者や部族長らに、水面下で協力を要請してきた。政府は自衛隊イラク派遣を契機に部族長らを首相官邸に招くなど、信頼関係の醸成に努めてきた。その結果、政府は部族長らからの間接情報として「3人の命は保証されている」(首相周辺)と見ている。
 外務省は早くから3人はアンマンからバグダッドの途中にあるファルージャ周辺で拘束されたと見て、バグダッド日本大使館員は電話でファルージャ周辺の有力者に人質解放を働きかけるよう訴えてきた。
 アンマンの現地緊急対策本部や東京でも、イラクにつながりがあるアラブ諸国の外交団に協力を依頼。フセイン政権時代に国外に逃れていた統治評議会のメンバーに働きかけるため、亡命先の英国などにも協力を依頼した。「直接、間接にメッセージが犯行グループに伝わることを期待した」と政府関係者は話す。川口外相は11日午後、イランのハラジ外相にも電話で助力を求めた。
 未明の声明は「(人質の)家族の痛みを考慮した」「外国の友好的な市民を殺すつもりはないと全世界に知らせたい」などとも述べている。
 10日夜にはアルジャジーラがニュースで無事解放を涙ながらに訴える被害者家族のインタビューを報じ、11日未明には川口外相が「3人の人質は純粋の民間人でイラクの友人だ」と説明するビデオメッセージがロイター通信などを通じて世界に配信された。政府は「犯人側に影響を与えたことも十分考えられる」(関係者)と見ている。
(04/12 01:28)

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