【ねこまたぎ通信】

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タイに部隊即時撤退論 上院委と野党要求

 【バンコク=山田伝夫】タイの上院外交委員会と最大野党・民主党は、イラクへ派遣しているタイ部隊の即時撤退を政府に要求した。日本の自衛隊が派遣を検討している中南部地域で復興援助を行っているが「犠牲者が出る恐れが強まったため」としている。二十九日付のタイ英字紙バンコク・ポストなどが報じた。

 タイは米国の要請で、道路復興や地元住民への医療を行う部隊四百四十三人を先月派遣。首都バグダッドから約百キロ南のカルバラを拠点に活動している。タイ政府はこれまで「復興支援のためであり、イラク国民からも歓迎されるはず」「派遣されるのは安全な地域」(タンマラク国防相)と説明してきた。

 しかし、クライサック外交委員長は、バグダッド市内の赤十字国際委員会(ICRC)を狙った連続爆弾テロなどを挙げて「人道援助に携わる部隊も安全の保障がなくなった」「既に米軍の制御が効かない状況だ」などと即時撤退を要求。

 イムロン・マルリーム上院議員は「イラクは墓場になりつつある」と述べ、民主党のジュリン副代表は「首相はイラク情勢を真剣に考えていない」と抗議した。二十九日付バンコク・ポストは、上院などの撤退要求を一面トップで掲載。社説も「部隊を帰国させるべきだ」と主張した。

 もっともタクシン首相は、「心配することはない」と、当面は撤退要求をはねつける構えだ。

 タイ部隊が展開するカルバラなどイラク中南部は、ポーランド軍が治安維持。シュマイジンスキ国防相は、さらに同軍指揮下の地域へ日本が自衛隊約七百人の派遣を検討中と明らかにしている。

 ■メモ タイ上院(定数200)

 下院(同500)と異なり、国王の任命制だったが1997年の新憲法で直接選挙になった。政党所属は禁止され、政権の意見番的な色合いが濃い。首相や閣僚の罷免権、国家機関による不正への調査権も持ち、下院で圧倒的与党に支えられているタクシン政権の政策も批判する。