【ねこまたぎ通信】

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「人間の安全保障」重視訴える=貧困・飢餓克服へ宣言−アフリカ開発会議

 アフリカの貧困克服などを話し合う第3回アフリカ開発会議(TICAD3、議長・森喜朗前首相)は1日午前、アフリカと国際社会の連帯を求めた「TICAD10周年宣言」を採択し、閉幕した。宣言では「国家の安定だけでは個人の生活向上は保証されない」と指摘し、貧困や飢餓など日常の脅威から人々を救う「人間の安全保障」の重要性を強調している。
 TICADは日本が主導し、アフリカ諸国やアジア、欧米の支援国などが参加して1993年にスタートした。 
 宣言では、TICADの功績について「アジアとの協力を拡大しアフリカ開発に多様性を与えた」と評価した。その上で、開発に深刻な障害を与える紛争の根本的な解決には、「社会経済の着実な再建」が必要と強調するとともに、「アフリカは貧困、飢餓、エイズなど最も人間の安全が保障されていない大陸だ」と指摘。TICADとして人間の安全保障の確保を重視することを打ち出している。 このほか、閉会式では森議長が3日間の議論を踏まえた議長総括を読み上げ、平和の定着や農業開発の重要性を強調。また、TICADを今後も続けていくことを確認した。


アフリカ開発会議「10周年宣言」の要旨

 アフリカ開発会議(TICAD)で1日採択された「10周年宣言」の要旨は次の通り。
 1、メキシコ・カンクンでの世界貿易機関WTO)閣僚会議でほとんど進展が見られなかったのは残念。公平な国際貿易システムの実現は依然として課題だ。TICADは「南南協力」、中でもアジア・アフリカ協力の重要性を強調し、アフリカ開発に多様性を提供。
 1、持続可能な発展を確保するには、リーダーシップと民主的ガバナンスに基づく国家主導型の開発と、個々人の能力育成を通じたコミュニティーを基盤とした開発の2つが、相互に補強し合うべきだ。
 1、紛争は開発の深刻な障害。「平和の定着」には、紛争の根本的原因の解決と社会経済の着実な再建が求められ、国際社会からの広範な支援が必要。
 一、国家の安定確保だけでは、個人の生活向上は保証されない。人々の生存や尊厳を日々の脅威から保護するという人間の安全保障の視点が不可欠。アフリカは貧困、飢餓、エイズなど最も人間の安全が保障されていない大陸だ。TICADは人間の安全保障の確保を重視する。
 1、国際社会はアフリカの独自性、多様性を認識し、開発協力政策に組み込むことが望まれる。
 1、アフリカと国際社会が真の連帯を実現することが、TICADの究極目標。

以上時事通信