【ねこまたぎ通信】

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 民主主義の息吹(一部抜粋)

民主主義の息吹(一部抜粋)

Experiments in democracy
(New Internationalist No.360
September 2003 p26-28)
 

子供達の議会 Where kids decide


「政治家やコミュニティーの人々にも解決できなかった問題を、11歳の男の子が解決してしまった」 インドのラジャスタン州に住む人の言葉だ。1993年、ここで世界初の子供議会(またはバル・サンサド Bal Sansadと呼ぶ)が発足し、大人と子供や、男女間の力を分配するための制度が始まった。大人達や政策決定者に対して、ラジャスタンの若者達の目を通して見える現実を認めさせ、彼らは実際にその力を発揮してきた。

議会に属する17人の議員達は、彼らの村の問題、例えば公共サービス等に関して議論を重ね行動を起こす。ある村人は驚きを隠さずにこう語った。「ある村では、新しい水供給システムを始める費用を子供達が集めたんだよ」

‘バル・サンサド’は、大海に浮かぶ小島のような存在にすぎない。世界では、この様な参加を促す小島がもっと必要とされている。しかし現在、学校が行っているのは市民の仲間になるための教育である。従って、学校がそのような教育をやめ、市民としての務めを果たすための教育を完全に民主的に行うまで、その小島が増える事はないだろう。だが、ユニセフの広報担当責任者リチャード・レイドが言うように、それは非常に政治的な決断となる。「『国連子どもの権利条約』は3つの部分からできています。供給(食料、医療、教育)、保護(児童労働や児童虐待からの)、そして子供達の参加です。最初の2つについては、理念上問題とする政府は少数です。しかし、子供の参加と聞いたとたん、政府は神経質になってしまうのです。

Mary John, Children’s Right and Power, Jessica Kingsley Publishers, London, 2001
Children’s Parliament boosts India health, BBC News, 26 August 2002
 

平和なコミュニティーを築く成人教育 Creating peaceful realities


アクションエイド・ブルンジは、Ruyigi州の3千人のフツ族ツチ族の間に信頼を植えつけるため、1997年から「リフレクトReflect」と呼ばれる参加型の成人教育手法を取り入れている。これは、現在65カ国で使われているものだ。識字技術だけでは人々を力づけてその成長を促すことはできず、それと平行して行われる、人を中心に据えた草の根開発が、数や言葉を習うのと同じぐらい重要となる……リフレクトはこの考えを基本としている。パウロ・フレイレ(NI 2003年9月号 p19参照)の考えを基にし、「意識化conscientization」―リフレクト参加者自らの世界観を描いてみること―がリフレクトの鍵となっている。まず参加者は、自分の置かれた状況を今までと違った視点で眺められるよう、日常生活から距離を置く必要がある。そうすることによって、彼らのまわりにある抑圧や衝突の原因を見極め、自分を取り巻く現実に対する見方を自分で構築できる。そして、その現実を変えるために行動する。これはまさにRuyigiで起きていることだ。Ruyigiのコミュニティーでは、フツとツチという分裂ではなく、むしろ地域の不安定な政治に反対する「貧しい人々」としての連帯が広がった。

リフレクトでは、参加者が各自の材料を持ち寄ることをすすめている。Ruyigiでは、議論をしたり図を使ったりして、平和を妨げるささいな争いごとや不信感といった要因を割り出す。1994年にルワンダで起きた大虐殺についても率直に議論する。このコミュニティーは、人々の主張が届く参加型手法を通して、フツとツチ両方の視点を取り入れた。「読み書きを習えた事は重要だ」 ある州内の84のリフレクトグループのメンバーであるジュベナル・ンデクマゲーゲは言う。この州では、異なる民族コミュニティーに対する「噂」が依然として著しく、過去にはそれが暴力を広げる原因ともなっていた。ンデクマゲーゲは続けた「私達はタンザニアにいるコミュニティーの仲間達に手紙を書き、故郷に戻ってくるよう勧めている」

コミュニティーの平和構築ニュースレター‘Ejo’は、ブルンジのリフレクト関係者の間から生まれたものだ。読者は4万人おり、リフレクト参加者が記事を書いている。その内容は、現在直面にしている困難や衝突後の生活再建に関する、彼らの個人的体験談である。リフレクトでは、教育を何段階かの思考のやり取りを伴うものとして考えている。行動の後にそれを振り返り、その後にまた新しい行動を起こす。従来の知識は、新しいコミュニケーション活動の中に取り込まれていく。そして、過去の経験は消え去ることなく、まわりの世界の理解を深める新しい方法を形作っていく。‘Ejo’は、キルンディ語で「昨日」と「明日」という両方の意味を持つ。

このプロジェクトの母体となっている国際リフレクトサークル(CIRAC)は、2003年のUNESCO国際識字賞を受賞した。

www.reflect-action.org
www.actionaid.org