【ねこまたぎ通信】

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 自らの構造調整を進めよ(一部翻訳)

自らの構造調整を進めよ(一部翻訳)

Structurally Adjust This...
(New Internationalist No.365 March 2004 p25-26)
http://www.ni-japan.com/topic365.htm


世銀とIMFが行う政策に、私達が反対していると思ったら大間違いだ。彼らの主張するような「改革」は、世界を貧困から完璧に救い出すことができるものだ。ただし、改革が開発途上国ではなく、世銀とIMFに対して行われればの話だが...。

規模縮小と経済効率

世銀とIMFが雇っているスタッフは、世界で計13,000人にも上る。この数は、国連すべてのスタッフとほぼ同数である。その一方で世銀とIMFは、雇用者の「削減」と「最大効率」を旗印に、開発途上国公共セクターでの大量解雇を頻繁に促す。また、労働力の「流動性」(この言葉の解釈は、低賃金、手当も保障も無しということだ)に関する規則を作るよう勧めるのもよくある政策だ。

平均的な世銀の職員は、年間15万ドル以上の税込み給与に加え、豊富な手当をもらっている。10年以上前になるが、元世銀/IMFエコノミストのデイヴィソン・バドゥーがNI 214号で次のように語っている。「世界の半分以上の人々は、いくら働いても経験5年の中堅エコノミストの給料の300分の1も稼ぐことができない。世銀エコノミストはこの事実をどうやって正当化できるのだろうか?」

グローバルな経済を牛耳るこの2つの組織を、彼らが持つ同じ理論にあてはめれば、最初は「職員の解雇」と賃金「カット」をすべきである。その後、残った職員は一時雇用契約とし、福利厚生と各種手当は廃止すべきだ。彼らの使う文房具も有料になる。

外注化と資産売却

退職手当無しで職員のリストラを行った後すぐに、損失を生んでいる事業の「清算」が促進されることになる。残った事業は、国連機関や各地域のコミュニティ団体などに外部契約で発注すればよい。IMFと世銀は、多数の政府に対して、水やエネルギー事業、銀行や電話会社、そして交通システムなどの「非効率」な国営事業を売却するようしきりに忠告している。この忠告相手に期待するのと同じ位の熱意で、自分達の「資産売却」にも取り組むべきである。

世銀のプロジェクト成功率は、自らの試算でも30〜40%にすぎない。この非効率な状況を改善するには、世銀プロジェクトの完全中止か、実行可能なプロジェクトをより成功率の高い組織へ外注する必要がある。「世界銀行債ボイコット」や他の外部団体が中心となって進めれば、資産没収、組織の会計負担軽減、より効率的な予算配分のための資源活用などを促すことになる。

不正行為の追放

世銀とIMFは、マジョリティーワールド[訳注]の不正行為追放に力を入れており、そのことを自慢している。しかし、自分達内部にもある汚れた関係の類にはほとんど目をつぶっている。長い間多数の活動家達は、この2つのグローバル化請負人がかかわる数々の利害をめぐる争いや企業との癒着関係を暴露してきた。

例えば、世銀のSHAREプログラムは、世銀と、世界最大級の多国籍企業の間でのスタッフ交流を促すものだ。バイオテクノロジーの巨大企業アベンティスのスタッフは、世銀の農業開発戦略とバイオテクノロジー政策の構築に積極的にかかわっている。そしてシェルのスタッフは、貧しい国々に対する投資と化石燃料規制の勧告作りを行っている。その一方で世銀スタッフは、「教育目的」としてビジネス業界で仕事を行っている。世銀のジェームズ・ウォルフェンソン総裁は、 SHAREプログラム開始にあたって、その目的を次のように述べた。「斬新な考え方を導入したり、私達の顧客により良いサービスを提供したりするために、外部の組織、特に民間部門との緊密なパートナー関係を築き上げるものである」 世銀の資金の半分近くが多国籍企業に直接渡っている現状を考えてみれば、このアイデアは確かにとても斬新に見える。

世銀とIMFは、言うまでもなく独立した捜査官の厳しいチェックを受ける必要があり、問題を引き起こす原因を突き止めなければならない。そして、不正行為予防対策を講じても改善が見られなければ、新たな資金集め不可能となるだろう。はびこった不正行為がいっこうに減らないようであれば、資金の支払い停止は止むを得ない。不正行為に対しては、畏怖と脅威で圧力を感じさせるような抜き打ち検査を、日常的に実施するのもまた良いだろう。

by Adam Ma'anit

訳注: NIでは、世界の大多数の人々が住む南の国々のことをマジョリティー・ワールドと表現している。

※この他の、「規制緩和」、「インフレ」、「政策の監視」、「反社会的支出の削減」、「重債務貧困国イニシアチブ対案」については、NI誌上でご覧下さい。